遂に開幕したVALORANT世界大会、日本ラウンド!
以前、こちらの記事でVALORANTの国内の盛り上がりに触れました。
その中で今年の世界大会の1つが、日本で開催されることに触れました。残念ながら、この舞台を目指していた日本のチーム・ZETA DIVISION、DetonatioN FocusMeは、Pacificリーグで敗退。日本チームが世界大会に参加できないという残念な結果にはなったものの、6月11日開幕した世界大会「Masters Tokyo」は連日満員御礼。
それに合わせて、試合も白熱し、とんでもない盛り上がりをみせています。
今回はそのMasters Tokyoの進行状況をまとめたいと思いますが、まずは世界大会の演出の素晴らしさに触れさせてください。
まず開幕で流れたオープニングアニメーションが素晴らしかった。
それが、こちら。
クオリティがとんでもなく高いですが、それも当然。
世界でも大ヒットした『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』を制作したProduction.IGが制作に携わっているとのこと。こういった演出をみても、RIOT社の日本カルチャーに対するリスペクトが伺えます。
このように、素晴らしい演出で開幕した本大会は、執筆時点でグループステージが終了し、出場チーム12チームのうち、8チームに絞られました。
Masters Tokyo開幕日のライブ配信は、こちら
4グループが2つに分けられたグループステージ
まずは大会形式を確認しておきたいと思います。
前述した通り、Masters Tokyoには12チームが参加しています。
VALORANTのトップリーグは、Americas、EMEA、Pacificの3エリアに分けられており、こちらの成績上位3チームが出場しています。ただし、EMEAのみ上位4チームが参加。これは、2月に行われた世界大会「LOCK//IN」で優勝したチームがEMEAエリアのチームだったことから、1枠出場権がEMEAエリアに追加された形。
そして、これらトップリーグエリアとは別に、中国の大会を勝ち抜いた2チームが参加し、計12チームとなっています。
Masters Tokyoはグループステージとプレイオフステージに分かれています。トップリーグから出場した成績上位4チーム(EMEA2チーム、Americas、Pacific各1チーム)にはシードが与えられ、プレイオフステージからの出場となります。
それ以外の8チームがグループステージで戦い、4チームに絞られます。
グループステージは、4チームが2グループに分けられ、ダブルエリミネーション方式で試合が行われます。
ダブルエリミネーション方式とは、簡単に言うと、1度負けてもOKという形式。つまり、グループステージは4チームの総当り戦ではなく、2勝すればプレイオフに勝ち抜け、2敗すればMasters Tokyoから敗退となります。
今大会のグループ分けはこちらとなりました。
【グループA】
NRG(Americas)
Natus Vincere(EMEA)※以下、NAVI
T1(Pacific)
EDward Gaming(中国)
【グループB】
Evil Geniuses(Americas)※以下、EG
FUT Esports(EMEA)
DRX(Pacific)
Attacking Soul Esports(中国)
波乱を巻き起こしたEDward Gaming(グループA)
それでは、グループAの結果をみていきましょう。
結果はこちらとなります。
(VALORANT//JAPAN公式YouTubeチャンネルより)
2022年から今年の世界大会においては、現在のAmericas、もしくはEMEAに所属するチームが優勝しています。そのため、この2エリアの所属チームが優勢なのではないか?という前提があります。
グループAもNRGとNAVIが優勢ではないかと考えられていましたが、そこに待ったをかけたのがEDward Gaming。
EDward Gamingは今回が2回目の世界大会出場。昨年8月に行われたChampionsでは残念ながら1勝も上げることなく、敗退となりました。
そのリベンジを果たすべく、今大会に挑みましたが初戦は接戦の末、T1に敗れてしまいます。下馬評では、EDward Gamingを推す声が多かったのですが、大会初戦の緊張感があったのでしょうか。
しかし、そこからEDward Gamingの逆襲が始まります。
負けたら終わりとなった対戦はEMEAのNAVI。昨年の世界大会優勝経験のあるメンバーが揃った強豪チームです。
NAVI勝利を予想する声が多い中で、EDward Gamingのエース・ZmjjKK(カンカン)選手が爆発します。2マップともに延長にもつれますが、ZmjjKK選手が48キルとチームを引っ張り、接戦をものにします。
試合後、ZmjjKK選手がインタビューでこの一戦が大きな自信になったと話した通り、この結果が次戦に繋がります。
グループリーグ勝ち抜けを賭けた戦いは、初戦で敗れたT1。
再び接戦が予想されたものの、NAVI戦でつけた自信と、しっかりとした相手への対策で、EDward Gamingが大差で勝利します。
この試合でもZmjjKK選手は爆発。42キル(次に成績の良かった選手は31キル)と圧巻のパフォーマンスをみせ、グループステージベストプレイヤーといわれるほどの活躍を見せました。
これでNRGと共にグループステージを突破。中国チームが初めてプレイオフに進む、歴史的な展開となりました。
世界大会常連DRXの苦戦(グループB)
次にグループBの結果はこちらになります。
(VALORANT//JAPAN公式YouTubeチャンネルより)
先程、Americas、もしくはEMEAに所属するチームが優勢という話に触れましたが、グループBは少々事情が異なります。
その理由は、韓国チーム・DRXの存在。最早、世界大会でこのチームの名前をみないことはなく、直近の世界大会でも、
VCT 2022: Stage 1 Masters - Reykjavík:ベスト6
VCT 2022: Stage 2 Masters - Copenhagen:ベスト6
VALORANT Champions 2022:3位
VCT 2023: LOCK//IN São Paulo:ベスト4
といった記録を残しています。今回はPacificチームのホームともいえる日本開催のため、DRXの優勝もあるのではないか、とすら言われています。
そのDRX。初戦のAttacking Soul戦は2マップ連取で危なげなく勝利します。
そして注目の一戦。Americasの強豪・EGとの試合。
接戦が予想されたのですが、EGのパワフルなプレイに圧倒され、本来の実力を発揮できずにDRXは敗れてしまいます。
これで、グループステージ突破をかけ、EMEAの強豪・FUTとの対戦となりました。
DRXには、昨年まで日本のチームに所属していたFoxy9(フォクシーナイン)選手が所属しています。今大会も第1戦、第2戦と出場していましたが、ここでDRXは第3戦でZest(ゼスト)選手に変更。
実は、VALORANTの競技シーンにおいて、こういったメンバーチェンジは珍しくなく、6人目の選手を上手く起用することで、相手の分析・予想を狂わすことができます。
そして、このメンバーチェンジがハマります。
1マップ目こそFUTに取られ、日本のファンをヒヤリとさせますが、2マップ目の中盤以降はDRXが圧倒。特に3マップ目は圧巻のパフォーマンスでFUTを引き離し、グループステージ突破を決めました。
これで、グループBからは、EGとDRXがベスト8進出となりました。
いよいよ優勝候補たちが登場
Masters Tokyoは、6月16日からプレイオフに入ります。
マッチアップはこちらのとおり。
(VALORANT//JAPAN公式YouTubeチャンネルより)
お伝えしたとおり、ダブルエリミネーション形式なので1度負けてもチャンスはあります。
ただ、グループステージから勝ち上がってきたチームは、レギュラーシーズン好成績をおさめたシードチームと対戦しなければなりません。
それぞれのマッチアップに関して、シードチームの紹介を含めて軽く触れます。
【Paper Rex vs DRX】
Pacificリーグ1位、2位対決となった本戦。
DRXとしては、Pacificリーグの決勝で、Paper Rex(以下、PRX)に敗れているので、リベンジしたいところ。
PRXも世界大会常連チームと言って間違いないですが、シーズン途中から加入したsomething(スミス)選手の存在が日増しに大きくなっています。
PRXは、元々攻撃的なスタイルを好むチームだったのですが、そこにキルを連発してくれるsomething選手が加わり、よりストロングポイントが強化されたといえます。
ただ実力は拮抗しており、どちらが勝利するのかを予想するのは難しい一戦でしょう。
【Fnatic vs NRG】
グループステージで盤石の戦いをみせたNRGは、今年最初の世界大会で優勝したチーム・王者Fnaticと激突します。
レギュラーシーズン決勝でまさかの敗退をみせたFnaticですが、所属メンバーは世界選抜と言ってもいいほど、豪華なメンバーが揃っています。
世界最高のアタッカーといわれるDerkeをNRGが止められるか。
世界大会連覇を狙うFnaticに対し、NRGは大きなチャレンジになることは間違いありません。
【Team Liquid vs EDward Gaming】
EMEAにおいてレギュラーシーズン、マップすら取られることなく快進撃を続けていたFnaticを破り、EMEA1位に輝いたのがこのLiquid。
トップリーグで活躍していた選手は多いものの、各チームから移籍してきたためか、シーズン中盤までは調子がなかなか上がりませんでしたが、終盤に急成長。Fnaticを倒すまでの地力を身に着け、一気に今大会の優勝候補に躍り出ました。
対するは先程フォーカスしたEDward Gaming。勢いは間違いなくEDward Gamingにありますが、その勢いに十分対応できる実力を備えているLiquid。
EDward Gamingも大きなチャレンジとなる一戦といえるでしょう。
【LOUD vs EG】
このマッチアップも、同エリア対決となりました。
Americasのレギュラーシーズンのプレイオフでは、LOUDがEGに対して2-1で勝利。EGにとってはリベンジとなります。
Americasでは、LOUDが総当り戦で1位、プレイオフでも1位となり、盤石の強さをみせました。これだけみるとEGが不利かと思われがちですが、EGはシーズン終盤にスタメンの固定化に成功。グループステージのパフォーマンスをみても、プレイオフでLOUDに敗れたときとは明らかに実力が違います。
この試合も予想が難しい一戦となるでしょう。
いよいよプレイオフが始まり、6月25日のグランドファイナルにむけて熱い戦いが続きます。
VALORANT史上初の日本での世界大会。
最も熱いファンが多いといわれる日本でトロフィーを掲げるのはどのチームなのか。最後まで大会を楽しみたいと思います。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
それではまた次回。
筆者:ともぞう
ともぞうと申します。
eスポーツに馴染みがない方はいきなり「え?」と思われることが多いかもしれません。eスポーツ界では本名ではなく、ゲーム内のハンドルネームで活動することが多く、この名義で5年ほど活動しております。
2017年までゲーム関係の会社で働いており、2018年からフリーランスに。その後、オーディションを経て、現在はeスポーツキャスターを主に活動しております。
この度、"広くeスポーツの魅力を伝えてほしい"というご依頼をいただき、私自身より多くの方にeスポーツを知っていただきたく、担当させていただくことになりました。
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